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ギリシャリクガメの飼育環境

本来あらゆる動物は自然の状態で暮らすのが一番良いに越したことはありません。例えいくら大きなゲージを用意し高い器具を揃えたとしてもそれがカメにとって最良の環境であるということは決してないことを念頭に置くべきです。
しかし、我が家を含む多くの飼育者はそれに近い環境をなかなか提供できないのもまた事実です。(^-^;

● ゲージ
● シェルター
● 床材
● 照明
● 保温
● 湿度
● 単頭飼い・多頭飼い

【ゲージ】
庭があれば特段寒い日や夜間を除き4〜10月くらいまで放し飼いにされても良いと思いますが、なかなかそういう環境はありません。リクガメの場合、屋内で放し飼いにするということも可能ですが爪によるひっかき傷や糞尿の始末などの関係で始終その状態にするのも難しい場合があります。
日本の住環境ではやはりゲージによる飼育が基本になることが多いのではないでしょうか。ゲージとしては爬虫類用のものでなくとも熱帯魚用の水槽やプラスチックの衣装ケースでもかまいません。ただ、保温のための熱で溶けたり燃えたりするようなことのないものを選びましょう。
大きさとしてはギリシャなら最低でも90cm×45cm以上のものをはじめから用意しましょう。買ってきた個体が小さいからといって小さな水槽を買うと後々後悔します。ギリシャリクガメはとっても活動的です。

飼育環境

【シェルター】
カメは慣れてくると近づいても触っても頭を引っ込めたり逃げたりしなくなりますが、本来臆病な動物ですので、飼い始め等は特に無闇に刺激してストレスをためさせないようにしましょう。そのためにも隠れ家としてのシェルターをゲージの中に設置してあげます。
その他にもゲージの中には流木や貝殻など遊び道具も入れておいてあげましょう。転んだら大変なのに、カメさん達はわざわざそれらの上を通って遊んだりしています。
しかし、以外と知られていませんがカメは脱走の名人ですのでシェルターを足場にしてゲージを抜け出すという話もよく聞きます。その辺のレイアウトやセッティングには気を付けて下さい。

【床 材】
床材は色々試してみましたが、今はウッドサンド(木の砂)に落ち着いています。ウッドサンドは猫の砂と似ていますが、猫の砂はオシッコ等の水分を吸収すると固まってしまうのに対し、ウッドサンドは逆に砂のようになります。また、素材も木なので間違って食べてしまっても安全というわけです。
他の床材として、新聞紙、赤玉土、干し草等を使っていらっしゃる方もいます。これらはメンテナンスの面で一長一短あるので、飼育者の生活スタイルやカメの体質に合わせて色々試されることをお薦めします。

【照 明】
カメのような爬虫類にとって紫外線(UVB)は必要不可欠です。このカメにとって必要なUVBは肌が日焼けする紫外線とは違い、ガラス越しでは効果がなくなってしまいます。ですから、外気温が20度以上あるような日はベランダなどに出して本物の太陽をたくさん浴びさせます。風が穏やかなときはもう少し低くても大丈夫でしょう。

ベランダ1 ベランダ2

しかし、真夏などは暑くなりすぎますので、水をまいたり日陰などを作ったりしてカメが自分で涼しいところにいけるようにしてあげないと日射病になってしまいますので注意が必要です。
また、ゲージには自然光にスペクトルが似ている光を出す爬虫類用の特殊な蛍光灯(フルスペクトルライト)を設置して、少しでも自然環境に近づけます。寒い時期や雨期には1日中屋内にいるわけですから、このフルスペクトルライトは無くてはならないものです。とは言え、自然光の威力にはかないませんので、これさえあれば大丈夫というものでもないのです。
うちでは現在「Power UVB(発売元:(株)ポゴナ・クラブ)」というフルスペクトルライトを使っています。

Power UVB

【保 温】
日本在来種ではないギリシャリクガメを飼育するにはそれなりの飼育環境が必要になります。
ギリシャリクガメは冬の寒い時期には本来冬眠してしまう種ですが、飼育下においてはこの冬眠時における事故が多いため、多くの飼育者が1年中ある程度の温度を保つことにより、冬眠させずに飼育していることが多いようです。
具体的には冬場の夜でも 20度 を切らないようにすることです。特に幼い個体や体長を崩している個体については 25度 を切らないようにすべきです。それにはひよこ電球やフィルムヒーターでカメのお腹やゲージ内の空気全体を暖め、サーモスタットで適切な温度に保温することが必要になります。
ピタリ適温
私の使っているみどり商会のピタリ適温は、25 〜 29度 の適温になるようなサーモが入っている遠赤外線温熱マットです。遠赤外線は波長が長いのでカメの周りの空気がそれほど暖かくなくても中から暖まると聞いています。大きさにより値段も違いますが、写真は 22cm × 25cm のピタリ適温2号というサイズで 3,500円 でした。

昼の間はスポットライトを設置し、飼育環境の中に温度差が生じるようにします。カメは自分の意志で暖かいところや涼しいところに移動します。特に食後は消化を促すために暖かいホットスポットの下で暖まります。ホットスポットの直下は 35度 〜 40度 くらいあっても良いでしょう。
また、それらの温度設定がうまくいっているかを確認するために、1日の中で最高の温度と最低の温度を記憶しておける最高最低温度計というものを用意すると寝ている間にどれだけ温度が下がっているかを翌朝確認することができます。

サーモスタット
ジェックス社の爬虫類サーモです。このサーモはタイマー機能も持っており、照明とヒーターにつなげば、昼は照明をつけ28度に保温し、夜は照明を切って22度に保温するという設定もできるので、配線もすっきりします。ヒーターが壊れて異常に温度が下がった場合などにはアラームを鳴らす機能もあります。値段は9,800円しました。水中用サーモだとW数の低いフィルムヒーターの制御ができなかったりしますので、できれば空中用のものを選びましょう。
最高最低温湿度計 これは上が温度で下が湿度を表示するようになっています。また、本体からでたコードの先の温度も測ることができ、ボタンによって本体とコードの先の温度を交互に表示できます。また、最高最低温度に加え、最高最低湿度も測ることができます。秋葉原の電気街で4,800円しました。
温度計だけなら3,000円くらいのものもあります。

【湿 度】
湿度に関してはあまり気にしたことはありませんが、今のところ問題なく育っているようです。ホシガメなどは毎朝霧吹きして湿度を上げてやったりするというようなことも聞きますが、ギリシャの場合はゲージ内に飲み水を置いておき自然と蒸発してある程度の湿度を保っている程度で大丈夫ではないでしょうか。冬場などの特に乾燥する季節で、人間ものどをやられるような状態の時は、主に人間を対象としているのですが加湿器によって湿度を保ちます。カメによる個体差もありますので飼育する方がよく観察してあげて下さい。

【単頭飼い・多頭飼い】
うちでは2年ちょっとの間GAIA1頭でしたが、GAIAもオスであることが判明し、彼女が欲しい年頃だろうということで、PICASSOを手に入れ一緒のゲージに入れてみました。するとGAIAがPICASSOのことを飽きもせずにずーっと追いかけまわし、このままでは、PICASSOがストレスを貯めてしまうということで、結局90cm×45cmの水槽をもう1本買いました。
小さいうちやメス同士の場合には1つのゲージで複数の個体を飼育することも可能かもしれませんが成熟したオスメスを常に同居させるのは避けた方がよいでしょう。

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